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急須のぽたんについて

ああ、急須ってなんでこんなに乾かしにくいんだろう。


お茶に関する本には「使い終わった急須はよく乾かしーー」と書いてるけど、伏せて乾かしても棚(急須の蓋がのる所)の裏側から水分は出てくるし、そのまま蓋を開けて乾かしても、時間がかかる上に茶渋がそのまま蓄積される感じがどうも気になってしまう。


内側を布巾で拭いても布巾のケバがついてしまうし、急須の中を水で満たして保管しても、次に使うときにやたら気を使って居心地が悪い。実家ではこの写真のように乾かしていたけど、たまに倒れたりするからこれもちょっと危ない(でも結構好きです)。
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そんなこともあり、果たしてどうすれば乾かせるのか・・・長い間悩んでいました。


とはいえ

そもそも、急須はお茶を美味しく淹れるためにデザインされたものです。乾かしやすさを求めること自体、お門違いの発想。どうしても乾かしたいなら自分でなんとかしなさいってこと。ちなみに、しっかり乾かすには注ぎ口を下にした状態で保持する必要があります。でも、ご想像の通りそれではどうやっても自立しません。


でも、なんとかやりようはあるんじゃないか・・
という感覚はずっと持ち続けたまま、大人になりました。

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そんなある日、絶対形にする!と心に決めたきっかけが起こります。
(全く大した話しではありませんけど)


その日、都内で呈茶活動をしていた私は、お客様から突然次の質問をぽんっと受け取ります。
「急須の内側が濡れてるけど、それが良いの?」


そのときは忙しくて急須もフル回転だったので、内側までしっかりと乾かす時間はありませんでした。仮に熱湯を急須にかけてすすいでも、外側はすぐ乾きますが内側が乾くにはそれなりに時間が必要です。


とはいえ、水が事前に少量入っていても、そこに茶葉を投入したところで苦渋味はほぼ出ないため、お茶の味が180度変わるような現象は起きません。しかし、日本茶インストラクターとしての呈茶だったため『急須の中が濡れている状態で淹れるのが、美味しいお茶の淹れ方だ』と伝えているように、受け取られていました。


確かに、こうやって説明しているとそう伝えているように見える・・・(※)
そのとき、ああ!もう!絶対!急須乾かし台を作る!絶対だ!と決めました。


※お茶の淹れ方は人それぞれです。急須で湯冷ましをされたり、淹れる前に急須を温めたりする方の淹れ方は、急須の内側が濡れた状態で茶葉を投入します。私はあくまでも日本茶インストラクターが最初に学ぶ、標準的な淹れ方で考えています。

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早速いろいろスケッチしましたが、なんだかやたら複雑な構造を考えてしまい、全然しっくりこない。

ちなみに、注ぎ口を下にして乾かすアイディアとして、急須が倒れない大きさのマグカップにセットするというものがあります。こういうふうに。
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ただ、これも最後のひと押しが出ないのでしっくりこない。それに何よりこの状態が私にはすごくかっこ悪く見えるし、ぶつかったら急須が滑り落ちそうで怖いっていうのもありました。



悩みに悩んだ結果、これはもうひとりじゃ作れない・・と判断し、日光市の作家(JAM Design + Cさん→ (Click!) )の門を叩きます。どうしても、作りたいんですという暑苦しい私に優しくお付き合いいただき、工具の扱い方を教わりながら、初号機と弐号機を自作しました (Click!)  &  (Click!) 



よし、これは販売しようと決めてからは同じく日光市のki-rakuさん (Click!) とタッグを組み、コツコツと進めながら、シングル・ダブル・三連が完成。2017年1月から吉祥寺のUNI STANDさん (Click!) で使用感のテストを行い、2017年5月からの販売に繋がりました。

※2017年7月からはフラット版も販売しています。

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それにしても、販売開始にあたり名付け・意匠登録・販売準備等々・・初めてのことが多すぎて、文字通り頭を抱えました(胃も痛かった)。でも、なんとか不恰好ながらも、それらも無事完了。振り返ると、本当に形にできるもんだなぁとじわじわ感動しますが、渦中にいる間はずーっと眉間に皺が。。。一から関わって下さった皆さまには感謝感謝。ありがとうございます。これからもよろしくお願いします。


ちなみに、急須のぽたんの「ぽたん」は急須の注ぎ口から落ちる水滴のイメージです。「ぽた」で注ぎ口から離れ、「ん」で土台にぶつかる、そんな様子から名付けています。


試用中、土台に水滴が溜まっていくのはどうなんだろう?というご意見も頂いたので、極小お猪口を水滴受けにしてみましたが、これは腑に落ちず却下。どうやら「乾く」を視覚化したことによる愛しさが、ぽたんの持ち味なんだろうと解釈しています。「おー、がんばって乾かしてるなぁ」という感覚です(もちろん、水滴気になる方は水滴受けをご準備し、ご使用ください)。

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まずは少しずつしか販売できませんが、じっくりとお付き合いいただければ幸いです。
急須のぽたん、どうぞよろしくお願いいたします。

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